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レッスンの質

 

留学時代、音楽院のFormation(音楽講師育成のための授業)の先生が言った言葉でよく覚えている言葉があります。
  
「生徒が大人だろうが子供だろうがHAPPY!を演出するようなわざとらしさは

                     芸術を勉強する上で一番邪魔なものである。」
 

年齢を問わず各々が独自に持っている「興味深いと言う感情」が能動的に沸き上がるようでなければならない。
と言うのがその先生の持論だったのですが、確かにその先生は毒舌だったししかめっ面だし厳しくはあったのですが

とても引き付けられる授業でした。
 

逆に情熱的なんだけど全く伝わらない先生のレッスンも受けた事があります。
もう汗だくで大声で歌いながら身振り手振り教えてくれるのですが、レッスンの目的が「先生のテンションの高さに

ついて行く事」になってしまって「夏期講習の一時的な先生で良かった・・」と言う疲労感が。

レッスンの質を決めるものはなんだろう・・。
 

(大抵の先生は演奏者でもあるわけですが) 恐らく、教える時の気持ちと演奏する時の気持ちのベクトルが
逆の方が良いんだと思います。
演奏者は「自分が楽しくないと聞く人も楽しませられない」と言う前提に立っています。あくまで自分が主体です。
これをレッスンに置き換えると「講師は自分が楽しくないと生徒も楽しませられない。」
それはそうなんですが、レッスンの目的は「楽しい時間を過ごす」ことでは無くて「上達する事」です。
楽しくて上達するならそれに越したことはありませんが、楽しいだけで上達しないのでは意味がありません。
生徒が上達した時に喜びを感じる事が重要なのであって、レッスンの場合「相手が主体」なのです。


生徒一人ひとり、性格もクセもやり方も年齢もレベルも生活パターン様々な環境も全く違います。
どうやったら相手に伝わるか、より上手にするには何が足りないか、ではどうすればよいか、

ここで寄り道させるかさせないか、多面的に説明しないと確実に相手に伝わったかわからない場合も多々ありますし、

ヴァイオリンはHAPPY!だけで出来るレッスンではないように思います。
 

相手にとって興味深いレッスン。相手にとってやる気が出るレッスン。
だからこそ、毎回のレッスンで講師もまた勉強する事があり
生徒と講師と、お互いに高め合えたらいいなと思います。

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